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インタビュー企画「ジブリパークを歩いて」Vol.20は二階堂和美さんです。

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消費の周期が短い今
三世代先までの在り方を見せている

ジブリパークを巡ったシンガーソングライター・二階堂和美さん

『かぐや姫の物語』の主題歌を手がけた二階堂和美さんは僧侶の顔を持つシンガーソングライターとして独自の感性でジブリパークに触れ、高畑勲監督との制作の舞台裏も明かしました。

高畑監督が発した
「いじらないで」

主題歌のお話をいただいたのは2012年の秋ごろ、ちょうど長女をお腹に宿していました。
当初はエンドロールで流れる歌のオファーでした。引き受けて大丈夫だろうかと迷いもありましたが、何か不思議な縁を感じたんです。

前年に出した「にじみ」というアルバムを高畑勲監督は聞き込んでくださっていて。
初めてお会いした時に1時間くらいかけて丁寧な感想をくださいました。
「にじみ」は「命は必ず終わる」がテーマの1つで、お寺を継ぐことになり音楽活動を続けられるかもわからない中、評価を気にせず、全てを詰め込んだ一作でした。

その想いが監督と深く響き合って、年齢もキャリアも遠く隔たっているのに、まるで同志のような気持ちになりました。
『かぐや姫の物語』を見終えた直後のやりきれない気持ちから、また立ち上がれるような慰めの歌が欲しい―。
そう託していただいたことは僧侶として考えてきたこと、命を預かっていく立場を含め、いろいろ重なるところがあり、「これはもう私が作るしかありませんね」と思えたんです。

「いのちの記憶」を制作するに当たり、監督は「『また会いたい』という気持ちを歌にしてほしい」と道標を出してくださいました。
監督とはお互いに譲れないところをぶつけ合いながら、曲を仕上げていきました。
録音時、修正したい箇所を伝えたら「いじらないで。いじると何かがゆがむから」と断られたことも。
当時は東日本大震災の直後で「芸能の作り手として"3・11以後"の責任を果たすのが『かぐや姫の物語』では難しい」と思われていた監督が「この歌を得たことで映画を見に来てくれた人たちに深い連帯感情を抱いて帰ってもらえる気がする」と言ってくださったのはとても胸に響きました。

「ジブリのなりきり名場面展」で『かぐや姫の物語』のシーンを体験

ジブリ作品の中で高畑監督がとても好きで、暮らしのささやかな機微を大仰にせず、大事にされるところが魅力。派手さがないゆえ、嘘のなさがあるんです。

音楽がないから
物に愛着がわく

ジブリパークについて声を大にして言いたいのが音楽の流れていないすばらしさです。
花火大会で流れるBGMは打ち上がる音をかき消すから大嫌い。テーマパークではとてもうるさく感じてしまいます。
ここでは風の音や、お客さんのにぎやかな声が聞こえてくる。
静かすぎて緊張するわけでもない。ちょうどいいにぎわいがあるんです。
そもそも映画の音楽も作品に溶け込んでいるものが一番。この場所もまさにそうです。

音楽はその場を支配してしまいます。それがない分、この空間では目の前にある物に対して非常に愛着がわきます。
「オキノ邸」(魔女の谷)の展示物は美術品のように映ります。それに撮影も禁止ですしね。見ることに一生懸命になれます。

音楽が流れていない空間の魅力を紹介

手間もお金もかかる
選択を率先して示す

ジブリパークは自然との一体感が思っていた以上でした。
丘の高低差を生かして、一つ一つの施設が存在感をもちながらも景色になじみ、本物の草花のそばを歩いていける。
「どんどこ堂」(どんどこ森)が土に還る天然素材で作られていると伺いました。

だからといって、自然に還る日が早くなるわけではなく、昔ながらの技術と素材が合わさると、むしろ命は長いと思うんです。
私たちが法隆寺(奈良県)を通して飛鳥時代を知るように、何百年、何千年もはるか先の未来の人がこの建物を見る―そんな日が来るかもしれません。

安く手に入るものばかりで消費の周期が短くなっている今、せめて三世代先の在り方までを問わないといけません。
ジブリパークは手間もお金もかかるその選択を率先して見せてくれます。きっと誰かの暮らしへとつながる場所です。

歌声を披露する二階堂さん

二階堂和美(シンガーソングライター)

1974年、広島県出身。97年からソロ活動を開始。
ジャンルにとらわれない音楽性と、類いまれな歌唱・表現力で国内外から幅広く支持されている。
代表作は2011年発表のアルバム「にじみ」。『かぐや姫の物語』(2013)で主題歌「いのちの記憶」を作詞・作曲・歌唱。
現在は実家の寺で僧侶を務めながら、音楽活動を続けている。

※掲載情報は2026年6月28日付です。展示等の最新情報はジブリパークウェブサイトをご確認ください。