インタビュー企画「ジブリパークを歩いて」Vol.17は柊あおいさんです。
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日本人の心に染みわたる温かい場所
訪れる度に必ず喜びをもらえる
『耳をすませば』と『猫の恩返し』の原作者、柊あおいさん(漫画家)がジブリパークを巡り、原作や映画化の秘話、そして宮﨑駿監督への思いを語りました。
すごくびっくりした
宮﨑監督の絵コンテ
「耳をすませば」を描いたのはその前に連載した漫画が恋愛ものだったので、これから人生を歩んでいく学生の人たちに「もっと違う世界にも目を向けてほしい」という思いからでした。
子どもの頃から読書が好きで、図書館や本の世界は大きなアドベンチャーだったんです。
当時は貸し出し用のカードが当たり前にあり、いろんな人の字を見ては「みんな何を考えてこれを借りたのかな」と想像していました。
「耳をすませば」の連載はあまり読者受けが良くなくて打ち切りになってしまったんです。
尊敬する宮﨑駿さん(映画では製作プロデューサー・脚本・絵コンテを担当)に映画化の話をいただいた時は「冗談でしょ?」って言ったくらい信じられなかったです。
宮﨑さんがやってくださるなら、お好きなように料理してくださいという気持ちでお任せしました。
制作中に絵コンテを見させていただいた時に「宮﨑さんがこんな初々しい少女漫画みたいなことを考えるんだ!」とすごくびっくりしたのを覚えています。
一方で、近藤喜文監督が原作の雰囲気を変えないように働きかけてくださったこともありがたかったです。
映画化されてからは作品自体が一人歩きしている感じがして、あまり自分の作品という感覚はありません。
未消化で終わらせてしまったものをきれいにまとめてくださって、とても幸せな作品にしていただきました。
心の原点に映る
宮﨑作品とは?
ジブリ作品はお母さん、お父さんが安心して子どもたちに見せられるのが魅力。
世の中にそういうものは案外少ないので貴重だなと思います。
子どもにも、大人にも、ちゃんと心に響くのがすごいですよね。
小さい時から『母をたずねて三千里』(演出:高畑勲、場面設定:宮﨑駿)などから無意識に影響を受けているところがたくさんあるんだろうなと思います。
特に『となりのトトロ』は心のより所として原点のように感じています。
昭和30年代生まれの私にはすごく懐かしくて、いろんな作品がある中でもやっぱり落ち着ける場所です。
「地球屋」のからくり時計
短編映画を見たような感動
自分の原作が実際のものとして表現されていることは不思議な気持ちでした。
描いている時は家の中の見取り図を作っているわけではないので、「こうなっているんだ!」っていう驚きもありました。
ぜひ見てほしいのが「地球屋」(青春の丘)のからくり時計です。
一つの短編映画を見たんじゃないかというくらい感動しました。
愛・地球博記念公園にある『猫の恩返し』の「猫の城遊具」はタワーの中に描かれた絵や色ガラスに光が当たる感じなどが一つ一つ真剣に作り込まれていました。
随所で職人さんたちが気持ちを込めていると伝わってきます。
何回訪問しても、ジブリパークで感じるのは本当に夢の国だということ。
ジブリパークが貴重な作品群になっています。
日本にこの場所があるのはものすごい文化遺産です。
日本人の心に染みわたるような温かい場所で、来たら必ず喜びをもらえます。
みなさんにも楽しんでいただきたいですね。
柊あおい(漫画家)
1962年、栃木県出身。84年に「コバルト・ブルーのひとしずく」でデビュー。
少女漫画誌「りぼん」で「星の瞳のシルエット」「銀色のハーモニー」など長期連載を手掛け人気を集める。
89年発表の「耳をすませば」は後に映画化。『猫の恩返し』では原作の「バロンー猫の男爵」を手掛けた。
※掲載情報は2026年3月29日付です。展示等の最新情報はジブリパークウェブサイトをご確認ください。