インタビュー企画「ジブリパークを歩いて」vol.11は 長濱ねる さんです
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物語の世界を信じてきた
子どもの頃の自分が報われたよう

幼い頃から魔女の物語に魅了され、スタジオジブリ作品とともに育ったという俳優の長濱ねるさん。以前にもジブリパークに訪れたことのある長濱さんが、今回はジブリの大倉庫、青春の丘、魔女の谷を歩き、新たな発見や五感で味わえる体験を語ります。リピーターならではの楽しみ方も必見です。
魔女に魅せられた幼少期。
不思議な物語に夢中に

魔法の本のページをめくる長濱さん
私は幼少期から〝魔女〟が好きで、絵本や児童文学を通してさまざまな魔女作品に触れてきました。「魔女の宅急便」もそのひとつで、今でも魔女がいると信じているし憧れています。初めてジブリパークに訪れた時には、「魔女の本棚」(魔女の谷)という本屋で魔女の料理レシピが載っている本をお土産に選びました。
原作を読むことでアニメでは描かれなかった物語を知り、理解を深めることもできますよね。作品に込められたメッセージは、それぞれの解釈に委ねられることも。ジブリパークでは作中で描かれていないところまで表現されていて、物語の新しい見方ができます。
ジブリがいつもそばに。
物語に故郷の景色を重ねて

大好きなポニョにご対面
初めてDVDで観たジブリ作品は『猫の恩返し』で、実家には『となりのトトロ』などのビデオもあり、小さい頃からジブリはいつもそばにありました。『千と千尋の神隠し』で、転校する千尋がムスッとしている場面があり、転勤族だった私もやり場のない怒りや虚しさに強く共感しましたね。
特に好きなのが『崖の上のポニョ』。物語の舞台が幼少期に過ごした長崎県五島列島に似ていて、港に船が帰ってくるのをお祭りのように出迎える場面からは、故郷の記憶がよみがえります。以前はポニョや宗介のかわいらしさに惹かれていたけれど、今はリサさんの気持ちや自然との共生というテーマも心に響くようになりました。
私がジブリに惹かれるのは、目に見えないものを大切にする思いが描かれているから。それは自然に宿る神様として描かれたり、アリエッティみたいに実際にいるんじゃないかと想像が膨らむ世界観だったりと、目に見えないものに思いをはせる楽しさがあります。
文化や歴史を感じる
物語と現実が溶け合う空間

箱の中身を見てにっこり
ジブリパークを訪れて感じるのは、物語世界と現実世界の境界線があいまいだということ。登場人物たちが本当にそこで暮らしているような痕跡が残されていて、「オキノ邸」(魔女の谷)ではキッチンの棚の扉を開けると本物の食器やカトラリーが置かれています。建物に施された装飾や実際に買い付けたという小物などに注目すると、異国文化を感じられるところも。
「食べるを描く。」増補改訂版(ジブリの大倉庫)では、登場人物のパンの切り方で食文化の違いが反映されていると知り、作品への愛情と異国文化へのリスペクトを感じずにはいられません。
(オキノ邸の)ほうきで空を飛んだり、(ハウルの城の)ドアノブを回すと外の世界が変わったり。大人になってもわくわくできて、物語の世界が決して嘘ではないと思える魅力と説得力があります。
信じた世界が目の前に。
見方を変えて何度も訪れたい
画面で観ていた世界が五感で堪能でき、「ジブリファンはたまらん!」という景色が広がっていますし、信じていた世界は本当にあったんだと、子どもの頃の自分が報われるような気持ちになりました。
季節によって装飾や小物などの展示内容が変わるそうなので、何度でも来たくなります。公園の豊かな自然とジブリの世界が見事に調和しているのも素敵。歩きながら物語の世界に自然に入っていけて、愛・地球博記念公園内のベンチにはジブリキャラクターの痕跡も残っているので、散歩しながら楽しむのも良いですね。
長濱ねる(俳優)
1998年、長崎県生まれ。幼少期は五島列島で育つ。けやき坂46のメンバーとしてデビューし、卒業後はテレビ番組への出演のほか、エッセイ連載や書籍出版など活動の幅を広げる。2021年、長崎県五島市出身でスタジオジブリ作品の美術監督も務めた山本二三氏と対談。今年7月15日に8年ぶりとなるセカンド写真集「長濱ねる」を発売予定。