インタビュー企画「ジブリパークを歩いて」vol.10は柊瑠美さんです。
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千尋がこの場所に遊びに来たら
きっと自由に楽しんでいるはず

今回、ジブリパークを回り、肌で感じたことを語るのは『千と千尋の神隠し』で主人公・千尋役を演じた俳優の柊瑠美さん。〝大人になった〟千尋はどのようにジブリパークを楽しんだのでしょうか。出演作にまつわる展示では当時のエピソードも飛び出しました。
「メリーゴーランド」は
大好きなヤックルの元へ

迷うことなくヤックルの元へ
ジブリパークには2年ほど前に母と夫、娘と来たことがあったんですが、魔女の谷は初めて。
「魔女の家」では、家具が緻密に作られていて、また、ベラ・ヤーガの作業部屋では薬草の香りに包まれた中でまじないをつくる体験ができ、一つ一つじっくり見ていたら時間が足りないですね。蛇口をひねれば水が出るし、アーヤが使っていそうな髪留めやヘアブラシもあって、実際に人が住んでいるお家にこっそりお邪魔しているようなドキドキ感がありました。
「メリーゴーランド」では大好きなヤックルに乗ることができたので、家族に自慢しようと思います。
『千と千尋の神隠し』
記憶が今によみがえる

千尋を演じた当時を振り返る
『千と千尋の神隠し』に関する展示でいうと、ジブリの大倉庫でおしらさまに初対面できました!「ジブリのなりきり名場面展」では以前もカオナシの横に座って写真を撮ったことがあり、ここに来ると、不思議とほっとした気持ちや懐かしさを感じます。
「食べるを描く。」増補改訂版では千尋が泣きながらおにぎりを頬張るシーンの制作資料がありますが、このときは実際におにぎりを食べながら録音して、すごくおいしかったことを覚えています。いろんな方々に「大好き」と言っていただけるシーンですが、当時そうなるとは想像していませんでした。
宮﨑駿監督はそのままの声を大切にされる印象で、細かい指導などはなかったですね。ただ後半のシーンは一度終えた後にしばらく時間を置いてから撮り直しています。人に頼ってばかりだった千尋が、けがを負ったハクを助けるために初めて能動的に動く、その成長した姿を表現するためには時間を置く必要があったと聞きました。
子ども心を思い出させてくれるジブリ作品は、大人になってから見ると新しい視点が生まれるのも魅力。私にとってその一つが、今年3歳になる娘が生まれてから、あの湯婆婆に共感できるようになったことです。千尋を演じた当時、同じスタジオにいた湯婆婆役の夏木マリさんの迫力が本当に怖かったのに(笑)。今は子を想う母の溺愛ぶりに親近感が湧く。これは本当に予想外でした。
ゆっくり何度でも楽しみたい
足湯ゾーンもあったらいいな

ジブリパークができると知ったときはうれしかったです。出演者としてと、ジブリファンとしての気持ちが半々ぐらい。実際に来てみると、ジブリパークは、テーマパークのような、美術館のような、はっきり区切られていないところがいいと思います。自然豊かな公園施設とあって、ゆったり過ごせるので体力の消耗も少なく感じました。
一日で全てのエリアを巡ろうとすると少し大変なので、キャッチコピーの「ゆっくりきて下さい。」という言葉どおり、日を変えて足を運ぶのが良さそう。今日は「タタラ場」(もののけの里)で五平餅を焼いてみようとか、「ハウルの城」(魔女の谷)で魔法の本を解読しようとか。あと個人的にあったらいいなと思ったのが、足湯ゾーン!たくさん歩きますし、『千と千尋の神隠し』に登場する青蛙の銅像なんかが浸かっていたら、みんな一緒に休憩したくなると思うんです。
もしも千尋がジブリパークに来たら...両親の食事中に行動できるたくましい性格だから、結構一人でも遊び回りそう。「メリーゴーランド」に勝手には乗るようなことはなくても、「飛行機乗りの塔」(魔女の谷)に登るとか、子どもだけのエリアを楽しんでいる気がします。
柊瑠美(俳優)
1987年、東京都出身。6歳から子役として活動し、2001年『千と千尋の神隠し』では、主人公・荻野千尋の声を担当した。『崖の上のポニョ』『コクリコ坂から』『アーヤと魔女』など、多数のジブリ作品に出演。NHK連続テレビ小説『すずらん』や、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』などに出演。ドラマ、映画、ナレーションなど幅広く活躍している。